登録
解体工事業を営もうとする者は解体工事を行う区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなけれなりません。これを「解体工事業の登録」といいます。
ただし、500万円以上の解体工事を請け負う場合には建設業法の適用を受けますので、解体工業の登録ではなく建設業法の解体工事業の許可が必要です。
また、建設業法の土木工事業、建築工事業又は解体工事業の許可を受けている者は解体工事業の登録は不要です。
さらに、解体工事業の登録を受けている者が建設業法の土木工事業、建築工事業又は解体工事業の許可を受けると解体工事業の登録は失効します。
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律
(解体工事業者の登録)
第二十一条 解体工事業を営もうとする者(建設業法別表第一の下欄に掲げる土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る同法第三条第一項の許可を受けた者を除く。)は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。
2 前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。
3 前項の更新の申請があった場合において、同項の期間(以下「登録の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の登録は、登録の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。
4 前項の場合において、登録の更新がされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
5 第一項の登録(第二項の登録の更新を含む。以下「解体工事業者の登録」という。)を受けた者が、第一項に規定する許可を受けたときは、その登録は、その効力を失う。
要件
解体工事業の登録を受けるための要件を説明します。
不適格要件
解体工事業の登録を受けるには「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」24条1項のすべてに該当しないことが必要です。
建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律24条1項
(登録の拒否)
第二十四条 都道府県知事は、解体工事業者の登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 第三十五条第一項の規定により登録を取り消され、その処分のあった日から二年を経過しない者
二 解体工事業者で法人であるものが第三十五条第一項の規定により登録を取り消された場合において、その処分のあった日前三十日以内にその解体工事業者の役員であった者でその処分のあった日から二年を経過しないもの
三 第三十五条第一項の規定により事業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
四 この法律又はこの法律に基づく処分に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
五 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(第九号において「暴力団員等」という。)
六 解体工事業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号のいずれかに該当するもの
七 法人でその役員のうちに第一号から第五号までのいずれかに該当する者があるもの
八 第三十一条に規定する者を選任していない者
九 暴力団員等がその事業活動を支配する者
技術管理者の選任
解体工事業の登録を受けるには、工事現場における解体工事の施工の技術上の管理をつかさどる者で主務省令で定める基準に適合するものを選任しなければなりません。
この主務省令を「解体工事業に係る登録等に関する省令」、この基準に適合するもの「技術管理者」といいます。
技術管理者の基準は「解体工事業に係る登録等に関する省令」7条に規定されます。
解体工事業に係る登録等に関する省令
(技術管理者の基準)
第七条 法第三十一条に規定する主務省令で定める基準は、次の各号のいずれかに該当する者であることとする。
一 次のいずれかに該当する者
イ 解体工事に関し学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校(旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による実業学校を含む。次号において同じ。)若しくは中等教育学校を卒業した後四年以上又は同法による大学(旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学を含む。次号において同じ。)若しくは高等専門学校(旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を含む。次号において同じ。)を卒業した(同法による専門職大学の前期課程を修了した場合を含む。)後二年以上実務の経験を有する者で在学中に土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。)、建築学、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科(次号において「土木工学等に関する学科」という。)を修めたもの
ロ 解体工事に関し八年以上実務の経験を有する者
ハ 建設業法(昭和二十四年法律第百号)による技術検定(第二次検定に限る。第七条の十八第一項第二号において同じ。)のうち検定種目を一級の建設機械施工管理若しくは二級の建設機械施工管理(種別を「第一種」又は「第二種」とするものに限る。)、一級の土木施工管理若しくは二級の土木施工管理(種別を「土木」とするものに限る。)又は一級の建築施工管理若しくは二級の建築施工管理(種別を「建築」又は「躯体」とするものに限る。)とするものに合格した者
ニ 建築士法(昭和二十五年法律第二百二号)による一級建築士又は二級建築士の免許を受けた者
ホ 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)による技能検定のうち検定職種を一級のとび・とび工とするものに合格した者又は検定職種を二級のとび若しくはとび工とするものに合格した後解体工事に関し一年以上実務の経験を有する者
ヘ 技術士法(昭和五十八年法律第二十五号)による第二次試験のうち技術部門を建設部門とするものに合格した者
二 次のいずれかに該当する者で、国土交通大臣が実施する講習又は次条から第七条の四までの規定により国土交通大臣の登録を受けた講習(以下「登録講習」という。)を受講したもの
イ 解体工事に関し学校教育法による高等学校若しくは中等教育学校を卒業した後三年以上又は同法による大学若しくは高等専門学校を卒業した(同法による専門職大学の前期課程を修了した場合を含む。)後一年以上実務の経験を有する者で在学中に土木工学等に関する学科を修めたもの
ロ 解体工事に関し七年以上実務の経験を有する者
三 第七条の十七、第七条の十八及び第七条の二十一において準用する第七条の三の規定により国土交通大臣の登録を受けた試験(以下「登録試験」という。)に合格した者
四 国土交通大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有するものと認定した者
建設業法許可との違い
ここでは解体工事業の登録と、解体工事業の一般建設業許可との違いを説明します。
なお、両者の取得のためのハードルは一般建設業許可の方が高いです。
請負金額
解体工事業の一般建設業許可を取得すると500万円以上の工事を請け負うことができます。(当然500万円未満の工事も請け負うことができます。)
解体工事業の登録では500万円未満の工事しか請け負うことができません。
施工場所
解体工事業の一般建設業許可には施工場所の限定はありません。
解体工事業の登録では登録した都道府県を管轄する区域でしか施工できません。
金銭的信用
一般建設業許可を取得するには500万以上の資産要件をクリアしなければなりません。
解体工事業の登録ではこのような資産要件はありません。
経営力
一般建設業許可を取得するには経営業務の管理責任者を置かなければなりません。経営業務の管理責任者の具体的な説明は割愛しますが、この配置要件は一般建設業許可を取得する上で最も高いハードルです。
解体工事業の登録ではこのような要件はありません。